5日(水)16時より、栗東トレセンの診療所で「中央競馬の薬物規制」の競馬講座が開かれた。

 各国の競馬を主催する団体はIFHA国際競馬統括機関連盟「パリ協約第6条」に基づき、「いかなる薬物であってもその影響下で出走してはならない」=すべてが禁止薬物という理念のもと、主催者のルールで薬物を規制している。
 日本は国際基準とは違い、禁止薬物(法律で規定)と規制薬物(主催者のルール)によって規制され、前者の違反者は競馬法による刑事罰の対象となる、他国にはない極めて厳しいルール。禁止薬物は競走能力を一時的に高めまたは減ずるものと定義され、96品目122が個別に指定。規制に反すれば、「競馬法」で3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、「競馬の施行等に関する規約」で競馬関与の禁止または停止、当該馬の失格や出走停止、賞金等の返還、調教停止、騎乗停止または過怠金の制裁が課せられる。
 規制薬物は治療薬(消炎鎮痛剤)が指定されており、15年から罰則を導入。出走予定日に規制薬物の影響下にある可能性が判明した場合は出走取消・競走除外(事故のためと表記される)となり、違反すれば制裁の対象となる。

 診療所では規制薬物が納品されているロッカーに鍵がかけられていた。獣医師がどの馬にどの薬を投与したかを台帳に記し、管理する調教師に通知票がいく仕組みだ。

 薬物規制の重要性に競馬の公正性、動物の福祉、人馬の安全性の確保、優れた個体選別があり、守り抜くために厳重に管理されている。

栗東編集局 山田理子

山田理子(調教・編集担当)
昭和46年6月22日生 愛知県出身 B型
水、木曜のトレセンではCWをお手伝いしながら障害、Bコースを採時。日曜は隔週で坂路小屋へ。調教時間が何より楽しく、予想で最重要視するのは数字よりも生身の馬の比較。週刊誌では15年より新たに「注目新馬紹介」のまとめ役を引き継ぎ、新馬の観察に一層力が入っている。