女性のための初心者競馬講座・秋(山田理子)

 10月24日(土)、京都競馬場の特別室で、「第3回女性のための初心者競馬講座」を開催しました。女性の初心者を対象としているため、毎度毎度多くのご応慕をいただけるわけではありませんが、今回、20代から70代の幅広い年齢層から19名の方に参加していただき、好天のもと、馬券検討、レース観戦をたっぷり楽しんでいただくことができました。第1回、第2回の反省点を踏まえ、初心者の方によりスムーズに馬券検討をしていただくために準備したのは1.馬券の買い方、2.競馬のクラス編成、3.競馬専門紙の読み方の3つの柱。以下のように進行してみました。

1.馬券の買い方……とにもかくにも実際に手にすれば分かりやすいと考え、第3Rでは全17頭+本紙◎○をプラスした19人分の単勝を買い、記入例としてそれぞれ番号を塗りつぶしたマークシートを添えて皆様にプレゼントしたのちにレース観戦を。1着に4番人気ナイトオブナイツが入線しておひとり様が単勝740円をゲット。そして、競走除外によりひとりの方が「返還」を経験されることになりました。それから、事前に用意していたレースのゴール前の写真を掲げ、単勝、複勝、ワイド、3連複、3連単の当たりの組み合わせを式別に説明すると、各々に覚え書きする姿が。「点数って何ですか??」という質問を受けたりすると、改めて、競馬講座を始めて良かったなあ……と。何でもどんな事でも質問できる雰囲気がいいですよね……。

2.競馬のクラス編成……新馬・未勝利→500万→1000万→1600万→オープン→G3→G2→G1へと上がっていく、施行条件、レースのグレイドをピラミッド型で図解して解説。レースが進むにつれ、ピラミッドの層が上へ上へと行くことで、当日のメイン競走室町ステークスの位置づけや、翌日G1菊花賞がいかに大きなレースかということも視覚的にご理解いただけたのではないでしょうか。

3.競馬専門紙の読み方……難題はこれ。ぎっしりと文字と数字で埋め尽くされた競馬専門紙の成績欄と調教欄の見方をいかに短時間で伝えるか。講師として初参加だった若手の丹羽TMが「競馬新聞は大まかに成績欄、厩舎のコメント、調教欄の3部構成」としたうえで、新馬戦の前に調教欄の数字が何を意味しているか、トレセンのトラックコースに6F、5F、4F…とハロン棒を描いて、調教タイムと呼ばれる数字の成り立ちを解説。数字はどのように評価すべきか、出走馬には1頭1頭すベてに「調教短評」が入っていて、それぞれの調教コース担当者がその馬の動き、馬体、状態、気性などを短い言葉で表現していますなど、ポイントを列挙しました。成績欄は、私が翌日の菊花賞に出走するリアファルを例にとって1レースを示す、ひとますの成績表の中の数字ひとつひとつが何を示しているかをゆっくりゆっくり説明。施行日、距離、レース名、クラス、頭数、着順、施行条件、走破タイム、騎手、斤量、馬具、ペース、前後半の3F、経過順、勝ち馬の馬名、そこからの着差、馬体重、ゲート番、人気、当時の追い切り……などこれだけを言い終えると、予想通り「へ~~(これだけ小さいスペースにこれだけの事が~)」と驚きの声が上がりました。当然ですよね~。

 上記3点を講座の最初に取りあげた甲斐あって、そのあとは皆さん、競馬新聞に吸い込まれていきそうなぐらいの集中力。わきあいあいとした雰囲気のなかにも、真剣勝負のまなざしが垣間見え、笑いあり、時には馬券検討に没頭するあまりの心地よい静けさありとメリハリのある時が流れました。次回は春の京都で開催予定。儲けた、損しただけにとどまらず、自身がいかに競馬と長く関わっていくか。より分かりやすく、より面白くを目指して、これからも回を重ねていきたいです。

栗東編集局 山田理子

山田理子(調教・編集担当)
昭和46年6月22日生 愛知県出身 B型
水、木曜のトレセンではCWをお手伝いしながら障害コース、Bコースを採時。日曜は隔週で坂路小屋へ。調教時間が何より楽しく、予想で最重要視するのは数字よりも生身の馬の比較。人気薄の狙い馬、危ない人気馬を常に探している。09年より関西障害本紙を担当。週刊誌では15年より新たに「注目新馬紹介」のまとめ役を引き継ぎ、新馬の観察に一層力が入っている。