雨馬場の味方(坂井直樹)

 こんにちは、栗東の坂井です。

 週刊誌「今週の狙い馬」の欄でも触れましたが、今年は年明けから小倉も中京も天候が芳しくないなかで開催が続いています。馬場造園課の皆さんのご苦労やいかにと推察しますが、予想をする立場としては、馬場状態(特に芝)が読みにくくかなり悩まされています。おそらく、同様に馬券を買って観戦されているファンの皆さんも同じでしょう。

 中京では今週は高松宮記念が行われますが、週末の天気予報を見るとやや下り坂。というわけで、小社WEBコンテンツ「競馬ブックweb」の「産駒成績分布」機能を使って、雨が得意そうな種牡馬を探してみようと思います。有名どころでは、道悪ダートならサウスヴィグラスやハーツクライ、カジノドライヴといった面々になりますが、出走回数が増えると成績が均されて傾向が見つけづらくなるので、今回はまだ傾向が浸透していない(?)初年度産駒が昨年デビューした種牡馬から数頭ご紹介したいと思います(成績は3月21日終了時点)。

 

◎ホッコータルマエ

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ダート通算(13.17.15.114) 勝率8.2%、連対率18.9%
ダート良(4.10.8.77)
 勝率4.0%、連対率14.1%
ダート稍~不(9.7.7.37)
 勝率15.0%、連対率26.7%

 雨で締まった馬場になった先週日曜にも、中京1Rでホッコーハナミチが1着、中山1Rでダイモーンが3着、阪神2Rでボルケーノペスカが2着と大活躍したホッコータルマエの産駒。ダートの稍重~不良馬場の勝率や連対率が、通算成績のそれを大きく上回っています。産駒の数も多く、買うチャンスの多い種牡馬です。「雨のタルマエ」と覚えておきましょう。

 

◎モーリス

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ダート通算(11.11.11.81) 勝率9.6%、連対率19.3%
ダート良(6.4.7.59) 勝率7.9%、連対率13.2%
ダート稍~不(5.7.4.22) 勝率13.2%、連対率43.1%

 ダートの不良馬場はサンプル数が少ないこともあって率が案外ですが、稍重、重の勝率、連対率は非常に高い水準。芝での成績を考えてもスピードの勝った馬が多いということなのかもしれません。ダートの良績が距離が1400m以下に偏っている点にもそれは窺えます。

 

◎ミッキーアイル

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芝通算(11.9.7.91) 勝率19.3%、連対率16.9%
芝稍~不(3.4.3.24) 勝率8.8%、連対率20.6%
ダート通算(11.11.11.81) 勝率9.6%、連対率19.3%
ダート不(3.1.0.7) 勝率27.3%、連対率36.4%

 雨が降ったらガラッと変わるというほど顕著な傾向は出ていませんが、今のところ芝でもダートでも雨馬場だと成績がちょっとアップする傾向にあるのがミッキーアイル産駒。ダートは不良馬場での成績が特にいいようです。

 

◎エイシンヒカリ

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芝通算(5.8.8.55) 勝率6.6%、連対率17.1%
芝稍(2.3.2.4) 勝率18.2%、連対率45.5%

 芝ならエイシンヒカリ産駒。重馬場での成績を見ると極端な道悪は良くなさそうですが、稍重までなら安定感抜群。ほどほどの雨馬場なら狙いやすい成績を残しています。

 

 

 いいお天気で競馬観戦ができればそれに越したことはないのですが、雨なら雨の楽しみ方をひとつ持っていると、競馬観戦が一段と楽しくなります。競馬ブックWebには他にもいろんな機能があります。是非ご活用いただいて、いろんな楽しみ方を見つけてみませんか。

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
2004年入社。データ漁りがライフワークで、愛読書のひとつは「中央競馬レコードブック」。今回は昨年の新種牡馬を調べましたが、他の世代も含めると、道悪で一番頼りになるのは芝のゴールドシップ産駒。身体的特徴(爪など)もあるのでしょうが、厳しいコンディションで一番モノを言うのは「折れない心」。このメンタルの強さを父ステイゴールドから受け継いでいるのではないか、と考えています。