棲み分けがより明確に(山田理子)

 前回、当コラムで「記録ずくめの2020年」(12月2日更新)と題して「今年は連勝、連覇、史上初が非常に多かった」「あらゆるカテゴリーで同じ馬が同じ鞍上が人気に応えて連勝街道を突き進み、GⅠ戦線は、主役が入れ替わることなくきている。昨今言われる牝馬の活躍がより顕著だったのも2020年の特徴」としましたが、以降のGⅠでも同様の傾向が見られたので、加筆追記し忘備録として書き留めておきます。
【馬の記録】
・4月18日:中山グランドジャンプでオジュウチョウサン(石神騎手)が史上初の同一重賞5連覇
・5月3日:天皇賞(春)でフィエールマン(ルメール騎手)が連覇
・10月18日:秋華賞でデアリングタクト(松山騎手)が史上初となる無敗での牝馬三冠制覇
・10月25日:菊花賞でコントレイル(福永騎手)が無敗で三冠制覇
・11月1日:天皇賞(秋)でアーモンドアイ(ルメール騎手)が連覇 ※ルメール騎手は18年秋から天皇賞5連覇中
・短距離路線は安田記念、スプリンターズS、マイルチャンピオンシップをグランアレグリア(池添騎手とルメール騎手)が圧勝
・11月29日:ジャパンカップでアーモンドアイ(ルメール騎手)が18年に次いでの勝利
・12月27日:有馬記念でクロノジェネシス(北村友騎手)がグランプリ制覇
・12月29日:東京大賞典でオメガパフューム(M.デムーロ騎手)が史上初の3連覇
【馬主の記録】
・サンデーレーシング:馬主の最多のJRAGⅠ年間最多9勝
【騎手の記録】
・ルメール騎手:年間最多タイのJRAGⅠ8勝

 連勝、連覇(同じ馬が同じレース・路線で勝つ)が増えたことで、トップクラスのレベルアップに加え、距離、コース、馬場状態、展開等のファクターに関して血統背景、気性といった個体差を踏まえたあらゆる面からの「適性」が早い段階から高い精度で見極められ、棲み分けがより明確になったと感じた1年。GⅠ直行で結果を出すのがもはや普通になったのと同様、近年の競馬が変化した点だと認識しています。だとすれば、この傾向は続いていくのではないでしょうか。スプリンターズSから始まった下半期のGⅠ12競走で1番人気が①①①①①①①④①③①①着。1番人気と上手に付き合うこと、大振り前提は禁物なのかな…。

栗東編集局 山田理子

山田理子(調教・編集担当)
 2021年、心にとめておきたい考え方のひとつに「言霊」があります。こんな時代だからこそ、一瞬一瞬、ひと言ひと言を大切にして暮らしたいですね。