ないものねだりしませんか?(田村明宏)

 記録的な猛暑だった夏もようやく終わって秋の空気が漂い出している。ほっとひと息というところだが、喉元過ぎればではないが、終わってしまえばもう少し夏が続いても良かったかもと思えてしまう。新型コロナ予防のためにほとんどのイベントが中止になった今年はあまり夏を感じることもなかったせいもあるだろうが、あれほど待ち焦がれていた秋も来てみれば多少、過ごしやすくなった程度でやや哀愁も感じてしまう。前回の出番だった時には長い梅雨が明けて夏が来たことを歓迎していたが、あれだけの猛暑では辟易してしまった。つくづく勝手なものだと思ってしまう。

 先週から秋の中山が開幕、相変わらず無観客の中での開催だったが、競馬が首都圏に戻ってきた。例年ならこれからが競馬シーズンと盛り上がるところが水を差された格好だ。これは仕方ないのだろう。この開催でひとつの目玉と言えるのが芝コースでのクッション値の公表だろう。開催日は午前7時の計測値が発表されるのだが、これまでの含水率に加えてよりきめ細かく馬場状態を把握できることになる。京成杯AHは昨年の秋には今年も勝ったトロワゼトワルが驚異的なレコードで勝ったが、今年はなんと3秒6も遅い時計だった。近年、特に昨年のジャパンカップで外国馬の参戦がなかったのもあって日本の高速馬場に対する批判が目立っていたが、同じ良馬場でもいざこれだけ、遅い時計での決着に終わってしまうとレベルの低さを疑ってしまう。ないものねだりかもしれないが、もっと理想的な形があるのではないかと更なる欲望が沸いてくる。

 先日、所用があって新潟出張をお休みしたが、私はいつも通りに当日版の新聞を手にすることなく弊社の競馬ブックwebで代用することに。私物のタブレットで馬柱の内容は分かるし、ほとんどの情報はオンラインで収得できた。テレビで競馬中継を見ながらパソコンやタブレットで情報を入手。新型コロナの影響でPATでしか投票できないファンの方々もこうやって競馬を楽しんでいるのに違いない。このコラムの読者であれば既にやっているのかもしれないが、もしそうでなければ一度、競馬ブックwebを試して頂きたい。当日版に掲載されている推奨馬だけでなく、厩舎回り特選や追い切りピカイチと言ったコラムがあり、先週は美浦の紅一点、和田恵記者が京成杯AHを見事的中させたYou Tubeの動画も見ることができる。更に今後は2歳馬情報も充実させる予定がある。これがあるといいなという、ないものねだりを競馬ブックwebで実現させて競馬をより楽しんで頂ければ幸いである。

美浦編集局 田村明宏

田村明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 O型
先週の中山芝コースの低速決着の理由はまだ解明できないが、良馬場の京成杯AHで同じ勝ち時計だったのは17年前のブレイクタイムまで遡らなければならない。この傾向はこの開催中、続くかもしれない。注目馬は時計がかかる馬場を歓迎する4日目12Rを予定しているディスパーション。今週の日曜の活躍を期待したい。