それでも今年も夏は来ぬ(田村明宏)

 8月1日、関東地方でもようやく梅雨明けが宣言された。今年の梅雨入りが発表されたのが6月11日だったからおよそ50日近い期間、梅雨が続いたことになる。昨年もかなりの雨が降ったと思っていたが、東京の6、7月の降水量を合計すると2019年が418ミリで2020年が482ミリ。いずれも平年を大きく上回っている。幸いにして関東地方で豪雨の被害を受けなかったが、九州地方、特に熊本では多くの犠牲者を出すほどの災害だった。自然災害は誰が悪い訳でもないので亡くなられた方のご冥福を祈るより他はない。私事でいえば弊社の美浦寮の改装もほぼ同時期に行われてようやく新居への引越しも完了した。しばらくは暑い日が続くのだろうが、ジメジメした季節よりは遥かにいい。

 振り返ると今年は2月下旬あたりから新型コロナ騒動に日本中が振り回され、桜の花見で春の到来を感じることがなかったし、ゴールデンウィークも緊急事態宣言下で本来の初夏の陽気を味わう機会も少なかった。5月下旬になってようやくそれが解除されると今度は長く続いた梅雨がやってきた。いつの間にか季節は変わっていたが、例年のような移ろいを味わうことがなかった。7月後半からは再び、東京のコロナ感染者数も増加傾向にあり、再度の緊急事態宣言も噂されているが、今のところは何とか踏み止まっているという現状だ。

 今回のタイトルの夏は来ぬというのは明治時代に作られた唱歌で日本人ならどこかで聞き覚えのあるフレーズだと思う。改めて歌詞を見ると古典的な表現で意味が分かりかねるところもあるが、概ね初夏の時期のことを詠んだもののようだ。ただ、5番まである歌詞の中で4番は梅雨明けの時期を題材にしている。台風の到来もこれからだからはっきりとは言えないが、おそらく今年は夏の期間もいつもより短くなってしまうのだろう。異例ずくめだが、過去にもいろんな夏があったのだし、今年も暑く燃える季節がやってきたのだから自分なりに楽しめればと思っている。

美浦編集局 田村明宏

田村明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 O型
東京オリンピックが延期になった今年は関西地区の競馬が休止で2場開催になっているのも違和感があるが、来週からは通常通りの開催に戻る。変則開催のラストはダートの2重賞が行われるが、中でも注目は札幌のエルムSに出走を予定しているハイランドピーク。2年連続連対の相性の良さは光るし、今年は斤量も1K減の56K。硬さがあるだけに冬場はひと息だが、休養明けの前走を叩いて前走以上の期待が持てる。