分からないことだらけですが(吉田幹太)

 初場所は横綱が早々と戦線離脱。大関にも土がついて、優勝争いは平幕2人に絞られる、かつてなかったような展開。しかも、番付上位で若い正代ではなく、幕尻で返り入幕の33歳徳勝龍が一敗を守って優勝したのだから驚いた。

 世間ではコロナウィルスのパニックでマスクが品薄に。国会では国のトップ、総理大臣が野党議員をやじるなど、令和2年はしっちゃかめっちゃかな始まりになった。

 スーパーに限らず、町の銭湯にも頻繁にでかけることが多い自分。基本的にはサウナに水風呂、広いお風呂を求めているのだけれど、もうひとつ大事なのが体重チェック。自宅に体重計を置いていないので、銭湯でしか自分の体重が分からない。

 入浴前で大抵は空腹。その日の最も軽い状態で体重計に乗ることになるのだけれど、それにしても先週は信じられないくらいの数字が出てひっくり返りそうになった。

 ピーク時に比べると10キロ以上も軽い数字で、令和2年、最初の目標を早々とクリアしてしまった。確かに昨秋からカロリーだけでなく、炭水化物、つまりは糖質をこまめにチェックはするようになったのだけれども、しばらく何の効果もなかった。

 それがいきなりの体重減。新たな病気かと少し怖くなったけれど、何も自覚症状がなく、毎月、病院で測っている血液の数字にも大きな変化はない。

 これはもう痩せ始めていると思っていいのだろうか。いやいや、大体、競馬でも当たったと思ったところからよくひっくり返る。緊張感を維持していれば、何があっても対処できる。もう少し気を抜かずに生活しなければ。

 それにしても競馬はつくづく難しい。1回中山の最後の週は完全に外差しかと思いきや、AJCCは内を通ったブラストワンピースとステイフーリッシュの2頭で決着。

 先週の京都、小倉の芝コースも外有利だろうと思って馬券を買うとあざ笑うかのように内を通った先行勢で決まったりする。

 もっとも、人気薄の馬をあえて狙うために多少、強引に考えている分もある。それがスタンスを崩すことにもなりえるのだけれども、うまみもあるのだから仕方ない。

 主に競馬のことだけれども、分からないことは分からない、とはっきり認識した方がいいのではないか。最近、つくづくそう考えるようになった。

 ついつい、会話の成り行きで分かったように話を進めてしまうが、分からないとしっかり宣言した方があらゆる面で自分に収穫があるような気がする。

 分からないことをはっきりさせることで、自分が分かっていることもはっきりする。これをごまかしてしまうと、自分が分かっていることさえあやふやなもののようになるのではないだろうか。

 この積み重ねで、相当、いろんなことを遠回りしてきたような気がする。いわゆる、その場しのぎだろうか。本当にもったいなかった。

 しかも、いまだに、ところどころで話の腰を折れずに、その場しのぎをついついしてしまう。本当に情けない。

 いずれにしても競馬は次から次へと想像もつかないようなことが起きる。仮に馬券が当たったレースでも、展開や流れまでもが自分の思惑通りに決まったレースなどほとんどない。

 それが競馬の面白さであり、最大の魅力なのかもしれない。

 映像にしてもコメントにしても、これだけいろんな情報が飛び交って、あらゆることが数値化されているのに、今年に入ってからWIN5の的中が1票だったことが、2回もあった。

 つまりはある程度、考えて考えて、たくさんの情報を集めても、どうしても分からないことは存在するということ。

 では、何のために必死に馬を見て、情報を集めて検討するのかといえば、努力することによって多少はレースの輪郭が見えてきて、確信を持って買えるようなレースもあるのではないかと思うから。

 それをうまく見つけて、しっかり馬券を取り切る。偶然、当たるような馬券もそれはそれでうれしいけれど、確信を持って馬券を買って、当たることこそが最高の喜びではないだろうか。

 今週もそれを求めて調教をしっかり見て、これから予想検討に入ることに。

 その成果が出るかどうか、週末の新聞を楽しみにしてください。

 そして、令和2年、分からないことを少しでも減らして、最後にマシになれたと思えるような一年にしたい。

 どうか、長い目で見守ってください。

美浦編集局 吉田 幹太

吉田幹太(調教担当)
昭和45年12月30日生 宮城県出身 A型
道営から栗東勤務を経て、平成5年に美浦編集部へ転属。現在は南馬場の調教班として採時を担当、グリーンチャンネルパドック解説でお馴染み。道営のトラックマン経験を持つスタッフは、専門紙業界全体を見渡しても現在では希少。JRA全競馬場はもとより、国内の競輪場、競艇場、オートレース場の多くを踏破。のみならずアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、イギリス、マレーシア、香港などの競馬場を渡り歩く、案外(?)国際派である。