どうなる有馬記念(青木行雄)

 ステイヤーズSやチャレンジCは残っているものの、先週のジャパンCで有馬記念への前哨戦は一応、終わった印象。3週間後のグランプリが今年はどんなレースになるのかを、ここでは勝手に予想してみたい。

 ジャパンCで世界が驚くパフォーマンスを見せたアーモンドアイ。ここからおそらくファン投票の数も急上昇。最終発表の時には1位になっていそうな気がするが、出走の可能性はないだろう。間隔が開いても走れるタイプなので、ぶっつけで来年のドバイあたりということになるのだろうか。シーマクラシック、ターフどちらの距離でも大丈夫なだけに、これはこれで非常に楽しみ。

 まだどんな馬が出てくるかもハッキリしないが、ルメール騎手が乗るということを考えても、1番人気がレイデオロになるであろうということは確実。年度代表馬の座は、もはやアーモンドアイで決定的だが、ここを獲るようなら最優秀4歳以上牡馬のタイトルはこの馬のものになるかも。短距離GⅠを2勝したファインニードルも有力な一頭ではあるが。

 2番人気は何になるだろう。春の中・長距離GⅠを勝った馬が当然上位には来るだろうが、天皇賞の勝ち馬は既に引退。宝塚記念馬のミッキーロケットは出てくるようだが、天皇賞(秋)が前哨戦を使えずぶっつけ本番。そこでは5着に善戦したものの、ジャパンCを筋肉痛で回避したことで、また間隔が開くことに。そこはちょっと割引材料になるかも。あくまで伏兵といったところか。

 もし出走して、しかもM.デムーロ騎手が乗ってくるようなら、スワーヴリチャードは2番人気候補。今までは右回りはひと息と言われていたが、大阪杯で完全に克服。天皇賞(秋)はご存知の通り、発馬の不利がすべて。前からは離されていたものの、ジャパンCは3着にまとめただけに、気配が上向いてくれば、秋3走目でもうひとつ上を期待するファンは多そう。

 ジャパンC2着のキセキも有力。ただ、自分でペースを作って、この馬もとんでもないタイムで走っただけに、疲労が残っていないかはやはり心配。出走するかどうかは数日のうちに発表されるだろうが、出走となれば積極策が完全に板についた今、直線の短い中山はこの馬には適したコースと言えそうなだけに、勝ち切るチャンスも十分と言えるのでは。

 例年、3歳馬は人気になるが、どうやらクラシックホース3頭はいずれも出走を見送るよう。となると、期待を一身に背負うのはブラストワンピースということになるか。菊花賞は外を回らされる形になって4着止まり。ただ、新潟記念の勝ちっぷりというのは、やはり強烈なインパクトがあっただけに支持は集めそう。各馬の仕掛けが早くなるようなら、直線の短い中山でも、逆に追い込みが嵌まる可能性はある。

 根強い人気があるサトノダイヤモンドはどうか。復調なったと見て自分もジャパンCでは本命にしていたが、結果は完敗。時計が速過ぎたということもあろうが、絶好調だった以前の走りを求めるのは酷なのかもしれない。

 話題を集めるのは、間違いなくオジュウチョウサン。まだ準オープンの身なので、出走馬決定順はおそらく最下位になるだろうが、ファン投票は中間発表の段階で3位。ここから大きく順位を落とすことはないと思われるので、楽々出走可能となるだろう。武豊騎手が引き続き手綱を取るようなら、単勝だけはかなり売れそう。ただ、前走の走りには驚かされたとはいえ、さすがにここでは荷が重い。

 ひとつ条件がつくが、一発逆転で2番人気になる可能性があるのはモズカッチャン。エリザベス女王杯の1、2着馬、府中牝馬Sで強い勝ち方をしたディアドラは揃って香港遠征。トップのアーモンドアイも出ないとあれば、牝馬の代表格はこの馬ということになりそう。前哨戦を使えずぶっつけ本番となった女王杯も3着と、力のあるところは見せつけた。使って上向くタイプということを考えれば、牡馬相手でもいいところはあるかもしれない。

 これはもう自分の希望的妄想と言えるレベルだが、先に挙げた2番人気への条件というのは、鞍上に藤田菜七子騎手が指名された場合。M.デムーロ騎手がスワーヴリチャードに乗るとすれば、鞍上は空くことに。今年はモズワッショイで新潟のメインレースを勝利。最近はモズの馬によく乗せてもらっている印象があり、先週などは京都に遠征して関西馬のモズベイビーにも騎乗した(2着に好走)。高額賞金が懸かるレースとあり、簡単にゴーサインは出ないと思うが、これが実現すれば一般のニュースなどでも大きく取り上げられることは確実。武豊騎手&オジュウチョウサンのコンビも実現となると、キタサンブラックの引退レースとなった、昨年以上の盛り上がりを見せるかも。

 ひと月ほど先のことでも、今からワクワクしてしまうのが有馬記念の凄さ。他場での開催とはいえ、自分も年間で最も好きなレースと言えるだけに、楽しみでならない。

栗東編集局 青木行雄

 

青木行雄(調教担当)

昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型

1993年入社。坂路調教を担当。札幌と西のローカル開催時は本紙予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。早いもので今年もラストの阪神開催に突入。今週からはローカルの中京も始まるので何かと大変だが、暮れの阪神開催の雰囲気というのはなぜか好き。馬券で儲けて、競馬場の帰りに梅田あたりで一杯。そんな流れを作っていきたいもの。