七転び八起き(山田理子)

 先週は公私でヘマをした。いい事がなかった。全部自分が悪い。お天道様が許してくれるはずもなく、馬券も予想も思い出したくもないぐらい散々だった。「今ある自分が自分の今の実力」なので現状を受け入れるより他はない。日曜の最終レースを終えて阪神競馬場をあとにし、栗東インターからほど近い事務所に着く頃にはRCサクセションの「いい事ばかりはありゃしない」が脳内再生され、後輩たちに「現実がつらいから深酒するわ」と言い捨てて、近くのドラッグストアへ。発泡酒と安い白ワインを買い込んで、巣に戻るように直帰した。家に帰っても事がうまく運ばず、まだ続くのかとうんざりしたが、とりあえず500缶をシュポッとやってチビリチビリ。今日一日ぐらい思い切りふてくされてやろうと、アルコールを少しずつ体に入れていく……。でも、全然、落ち込めないのよね。どうやら私は根っからのポジティブらしい。飲むほどに、これじゃあかんやろと叱咤する自分がいて、何とかせねばという気持ちにどんどん傾き、まずは日常をちゃんとしようと超前向きな結論にいきつく。とりあえず身の回りの整理をして、お風呂を磨き、ちゃんとしたものを食べようと冷蔵庫のありあわせで晩御飯(というかアテ)の支度。れんこんを薄切りしてきんぴらを作り、ちんげん菜と水煮の筍とエビで八宝菜もどきのヘルシーなおかずを加え、キャベツを細かく切り刻んで干しえびたっぷりのお好み焼きを完成させると、馬券で大敗していても、自分が真人間に思えてくる。

 以前、このコラムで紹介した馬券の師匠が3週前の阪神競馬で単勝2680円の馬券をいわした。この土曜日には後輩の羽生が単勝11250円の馬を◎にして、推奨馬にして、ハナ差2着に激走した。いわゆるポツン◎。しびれる予想だった。他の誰も気づいていないことに着眼して馬を信じ追いかけ、結果が出て儲かったときの喜びは馬券ファンには至上の喜びであり、周りも憧れる。奇をてらわず、大振りせず、でも、穴馬を探して、もっともっと、ビッグな配当を狙いたいとほろ酔いながら思った。夢を追いかけ、もう少し穴馬券にシフトしていくべきではないか。よし、探そう。過去のレースを、最近の攻め馬状況を精査して、オイシイ配当をもたらしてくれる馬を徹底的に探してみよう。

 あれこれと調査し、配当の妙味を加味して行き着いたのがトウケイポイント(古馬500万)。昨年10月17日の時点で坂路でチェックを入れている。「体質が弱いところがある」とのことで一旦放牧に出され、3月に芝2000mでデビューしたものの7着。当時のマイメモには「まだトモが弱くてフラつく」とあり、「前脚をタグる走法」とも添えてダート向きのジャッジ。休養を挟んでソエが治まり、この夏函館のダート1700mで前半掛かりながらも早目先頭から押し切るレースで初勝利を挙げた。まだキャリア5戦で、ソエが治ってダートで3、1着だから、遅い時期の未勝利勝ちでもまだ伸びしろあり。前走もそうだったが、1週前のCWの調教でも行きっぷりは良過ぎるぐらい。その前向き過ぎる気性と母マヤノメイビーがデビューから1400mで連勝した経歴を考慮すれば、初めての1400mはプラスに出るはずだ(京都2日目の1400mを予定)。単勝は10倍台か、それ以上かも。楽しみになってきた。単勝4倍~10倍未満見当ならコスモグラフィティ(新馬)、カリスマサンスカイ(古馬1000万)、ゲームフェイス(古500万)がいる。このあたりは手堅くプラスにしておきたいところだ。渾身の◎を打つために、時間をかけて宝探しを続けていこう。

栗東編集局 山田理子