金杯は

金杯は、東が馬連850円、西が540円の本命戦でした。昨年暮れのこのコーナーで“金杯は荒れる”と書いたことを深く反省しています。もちろん、私の馬券はカスりもしませんでした。〈ところで皆さん〉。社台グループの総帥・吉田照哉氏が、この度、「馬づくり馬そだての戦略」という本を出版されたのをご存じですか。社台スタリオンに繋養されている名種牡馬、現役で活躍している強豪の興味ある話が満載されているんですが、その中で、サンデーサイレンスとトニービンの違いを“トニービンは白人的な粘り強さ、サンデーサイレンスは黒人的なパワー”と表現しているんです。産駒の走りを見ると、正に“言いえて妙”。故武田文吾師の名言、“シンザンはナタ、コダマはカミソリの切れ味”を思い出させます。こういった名文句は、名馬の傍にいるからこそ思い浮かぶものなんでしょうね。再度、〈ところで皆さん〉。我々凡人も時々、“聞いといてもええかな”と思わせることを言うことがあるんですよ。二三ご紹介しましょう。“攻め馬で走る馬はいつか走る”(競馬ブック・藤井嘉夫)・・・稽古で走っても、実戦に行くと全然ダメという馬はいっぱいいます。しかし、彼は、攻めで走るということは、走る脚があるということ。追っかけてればいつか馬券になるというのです。“2頭で競って勝った馬も強いが、3頭で競って勝った馬はもっと強い”(私・井戸本征彦)・・・ポンとハナ切って、そのまま逃げて、ブッち切って勝った馬は本当に強く見えます。ところが、これが案外アテになりません。ちょっと強い同型の馬にコスられると信じられないほどモロいんです。昇級して一本人気になりながら惨敗というケースが多いんです。ところが、2頭で競って勝った馬はクラスが上がっても、結構我慢が利きます。3頭で競って勝った馬は、更に我慢が利きます。2頭を競り落とした訳ですから、ネッキリハッキリの勝ち方になります。勝ち方が地味ですから、昇級してもそれほど人気にはなりません。でも、こんな馬は間違いなく強いですよ。藤井の方も、井戸本の方も、該当する馬を見つけて、注目してください。納得がいったら、試しに馬券を勝ってみてください。ヒョッとしたら大穴が取れるかも知れませんよ。
(関西競馬ブックデスク・井戸本征彦)