世界随一、日本の競馬(吉田幹太)

 9月が暑いのは当たり前。

 しかし、今年はただ暑いだけではなく、生ぬるくて肌にベトベトまとわりつく暑さ。秋の気配は勿論、梅雨でもここまでひどくはないような不快感で、季節感がすっかりなくなってしまいました。

 そんな気候に関係なく、競馬はいよいよ秋のGIが開幕。今週末にスプリンターズS、来週からは秋の東京、京都8週開催が始まり、再来週からは立て続けにGIが続きます。

 そしてこの秋、何より注目なのが日本で初めて海外の馬券が発売されることでしょう。

 主催者じゃないJRAが売るという点にほんの少し違和感はありましたが、考えてみればサッカーのワールドカップ・ブラジル大会でtotoを売ったのだから問題ない。

 日本も賭け事に対しての考え方が徐々に変わってきたのだとすれば、これほど喜ばしいことはない。公営ギャンブルにもいい影響を与えてくれれば、自分のように休日に足繁く通っているお父さん方にも住み心地のいい国になったということかもしれません。

 これでうんと前向きに凱旋門賞に向かっていける。日曜の13レースの気持ちで挑もうかと気合が入ってきました。

 今のところ海外のブックメーカーのオッズで見るとポストポンドが1番人気で2.7倍。マカヒキはフランスダービー馬のアルマンゾルと並んで2番人気の6倍になっている。

 果たして、日本限定で売るとなるとどうなるのか?

 海外馬券発売の記念すべき一回目で、父の無念を晴らすべく参戦するマカヒキ。ただでさえ、尋常じゃなくレベルの高い日本の3歳の中で、頂点に立った実力。基本的に高配当狙いの自分が見ても、日本馬念願の凱旋門賞制覇にふさわしいような気がしてならない。

 やはり、マカヒキのオッズは少し下がるかもしれない。けれどもブックメーカーが6倍ならそれほど大きな差は出ないのか。自分の知る限り、馬券を買うことに関しては日本のファンのレベルは随一。ドゥラメンテを負かしているポストポンドが1番人気になることもあり得る。

 ならば、この2頭以外の馬を探そう。

 そう思ってグリーンチャンネルやYouTubeで散々、参考レースを見ましたが、どれもこれも良さそうな気はするのだけれど、もうひとつピンとこない。

 そんなこんなで映像をダラダラ見ていたら、やはり、海外の競馬場は日本には絶対にないロケーションのところが多いな~と思わされ、無性に現地に行ってみたくなっていた。

 今のところ、自分には海外へ遠征するほどの金銭的な余力もなければ、時間的な余裕もない。

 しかし、こうやって馬券を売ってもらえることによって、いろいろな映像を見て、考えて、実際にレースもライブで見ることができる。

 勿論、我々記者の中でもいろんな情報交換が行われて、あれやこれやいろんな意見も飛び交うようになってきた。こういうひとつひとつが競馬サークル全体を海外に目を向かせて、今まではそれほど気にならなかった海外の記事も、少しずつ敏感に反応できるようになってきたような気がします。

 そうなれば、仮に日本馬が参戦しなくともメジャーリーグや海外のサッカーのように、お客さんに豊富な知識があって、楽しみながら馬券を買うことができるかもしれない。

 となればファンだけではなく、日本の競馬のレベルそのものが世界随一といわれるだけの先進国になる日が来るかもしれません。

 そんなことを夢見ながら、一番欲しいのはやはり現金かな~。穴をひねり出そうと必死に検討しています。

美浦編集局 吉田幹太

吉田幹太(調教担当)
昭和45年12月30日生 宮城県出身 A型
道営から栗東勤務を経て、平成5年に美浦編集部へ転属。現在は南馬場の調教班として採時を担当、グリーンチャンネルパドック解説でお馴染み。道営のトラックマンの経験を持つスタッフは、専門紙業界全体を見渡しても現在では希少。JRA全競馬場はもとより、国内の競輪場、競艇場、オートレース場の多くを踏破。のみならずアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、イギリス、マレーシア、香港などの競馬場を渡り歩く国際派。まさにその真価(?)が問われる今週末、である。