改めてJRА賞を考察する(田村明宏)

 リレーコラムの日程の関係で前回の私の出番は暮れも押し迫った12月28日だった。逆に年明けの登場はもう3月になった今回。今さら年始の挨拶ということもないが、年明けの出来事でまだ消化し切れてないJRА賞について考察したい。記者投票の結果を見ると一番、接戦だったのは最優秀障害馬部門で僅か1票差でオジュウチョウサンが選ばれた。昨年から投票権を得た私も悩んだ挙句に結果的に2位に終わったニシノデイジーに投票したが、主な勝ち鞍が中山大障害だけなのでここは致し方ないかなと感じている。他にも最優秀4歳以上牝馬を私はソダシにしたが、一年の前半よりも後半の活躍が印象に残ってしまう中ではやむを得ない。感じ方の違いなのだから反論する必要もないと思っている。

 ただ、一部門最優秀ダート馬については納得がいかないものがある。お断りしておくが、カフェファラオの実力に対して不満があるのではない。それでも昨年の実績で言えばカフェファラオがJRАでは2戦してフェブラリーS1着と安田記念17着のみ。それに対して私が投票したジュンライトボルトは4戦3勝。負けたのは初ダートだったジュライSのみで相手も既にオープンクラスで活躍していたニューモニュメントで決して弱くはない。そう考えると昨年1年間のJRАダートでの活躍を考慮すれば後者であっていいのではと思える。記者投票の多数決というルールでしかもかなりの票差があったのだから何を今さらと言われそうだが、単に昨年のことだけではなく今後に向けても意味があると感じているのだ。JRАGⅠの緒戦になったフェブラリーSは近年の中では手薄な印象になったように既に関係者の目線はサウジカップやドバイワールドCに向いている。賞金面を考えれば当然の選択なのだろうが、秋には凱旋門賞や香港国際競走があってますますJRАのレースの地盤沈下が心配される。昨年のカフェファラオに関して言えば交流の南部杯勝ちという実績を評価されたのだろうが、あくまでもJRA賞という括りならジュンライトボルトではないかと未だに思っているのだ。

 と、ここまで1週前の時点で書き終えて出稿しようと思っていたらサウジカップでのパンサラッサの歴史的快挙。自身は2度目のダート参戦で以前とは状態も地力も違うのだろうが、1着1000万ドルの走りを見せられると早くも来年の選考に悩まされてしまう。同じダートと言ってもコースによって砂質が違うのだろうし、海外遠征なら向き不向きもある。何か結論を書こうと思ったが、改めてJRA賞の意味とは?を来年までの宿題として今回は終わらせたい。

美浦編集局 田村明宏

田村明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 О型
現役で言えば東京大賞典、川崎記念と交流ダートを連勝中のウシュバテソーロを始め、ダートのGⅠ級で活躍馬を多数、輩出している高木登厩舎。今週の総武Sに出走予定の明け4歳馬、ヴァルツァーシャルに注目したい。古馬オープンのここを突破すれば今後の活躍次第で最優秀ダート馬の資格もありでは。