シーズン2に期待(田村明宏)

 競馬の世界では3月から新人騎手がデビューしたり、調教師も新規開業したりで新年度に切り替わるが一般社会では4月から年度替わり。新入生や新入社員が誕生する。今年のカレンダーを見るとちょうど今週からがそのスタートのタイミングと言えるだろう。弊社でも新しい仲間が加わるようで楽しみなのだが、名残惜しいものもある。年度という単位でこそないが、今年の1月からスタートして3月一杯で終わってしまった連続ドラマにお気に入りの作品があったからだ。特に宣伝をするつもりはないが、テレビ東京で土曜深夜に放送されていた「銀と金」がそれだ。このコラムの読者ならご存知の方も多いと思うが、ギャンブル漫画の大家と言っていい福本伸行氏の原作によるもので私も文庫本になったものを所有しているが、初出は雑誌に連載されたものでもう20年以上前に書かれたものだそうだ。
 裏の世界云々は別としてギャンブルで一攫千金の夢を見る、この業界に入った人間なら誰でも考えることをフィクションの世界の中とはいえ実現する。そんなストーリーにまだ駆け出しのトラックマンだった私も引き込まれてしまった。勿論、氏の代表作と言えば映画化された「カイジ」だったり「アカギ」だったりするのかもしれないが、私はもっとスケールの大きい、この話が好きだった。作画に関しては好き嫌いもあるだろうし、作中で登場するトリックも一部には?というところもあるが、銀さんや森田のセリフに印象に残るものが多く、作者のギャンブル観や人間観察には唸らされることもしばしば。馬券を外して熱くなっているときにはそんなセリフを思い出してみると参考になる。未見の方にも是非、一読をお勧めしたい。それがドラマ化されて、地上波で放送されるということで非常に楽しみにしていた。当初は自分のイメージしていたのとは違う生身の役者さんが演じることで今ひとつ入り込めなかったが、ポーカー編あたりから次回が待ち切れなくなり、終わってみるとロス感が充満。テーマソングに使われていたamazarashiの「ヒーロー」にも愛着が湧いてそれまで聴いたことがなかったバンドのCDも購入してしまった。
 ところでテレビ版は3月一杯12話で終わってしまったが、先行配信されていたアマゾンプライムではスペシャル版で13話がありよく見ると画面上部にはシーズン1の表示が。ザワザワザワ……テレビ版でのあの終わり方、原作では主人公の森田こそ登場しないものの重要な話ではある競馬編もあるだけにひょっとして続編があるのかも。もし、競馬編を実写化するのならスケールの大きな話で是非、実現して貰いたいと期待が膨らむ。今回はちょっと脱線してしまったが、現実の競馬の話に戻ると新設された古馬のGⅠ、大阪杯が終わって今週末にはクラシックの第一弾、桜花賞が開催される。例年なら3歳牝馬のスピード比べと言われるのだが、今年に限って言えば実質的に3歳世代の頂点が決まると言っても過言ではないレース。2017年も4分の1が終わってシーズン2へ。そのスタートにふさわしいレースを期待したい。

美浦編集局 田村明宏

田村明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 O型
冬に逆戻りしたような先週の寒さから今週の福島開催も心配していたが、雨の予報はあっても気温は高いようでホッとひと安心。本来なら福島から注目馬を出したかったが、まだ手探りの状態。やはり王道を行って桜花賞に注目したい。週刊誌でも触れたが、まだソウルスターリング一強とは思ってない。アドマイヤミヤビ、アエロリットまで圏内と考えて身を焼くような勝負が見たい。