変わらぬ気持ちで(田村明宏)

 私の地元、都内の郊外の都市でこの夏、駅前の再開発事業が完了。数年に亘って大規模な工事が行われていたので煩わしさから開放されたし、不便だった駅構内が若干、広くなって景観もスッキリ、見通しが良くなった。15階建てのビルは近隣では目立つもので新築の爽快感が漂っている。せっかくだからとそのひとつのテナントを覗いてみると……。ターミナル駅の近くによくあるチェーンのコーヒーショップ、グレードアップされた仕様で価格設定はやや高めだが、常識の範囲内だし、店内の造りはユッタリとしていてそれなりに落ち着いた時間を過せそう。ただ、気になったのは店員の手際の悪さ。ほとんどの作業はマニュアル化されているだろうが、まだ基本を理解してないようだし、横の連携も不十分なのだろう。まあ、時間が経てばそのあたりは改善されそうだし、全体的な雰囲気は悪くない。そのうちお気に入りの店になってしまうかも。

 移動の途中ではあったし、細かくすべてのテナントを見て回った訳ではないが、気づいたのは、ほとんどが他の主要駅の近くにもあるチェーン店で、以前からあった地元だけの店が幾つか消滅していたこと。後に駅前から少し外れた場所に古くからある商店主に話を聞くと、「私も一時期は別の駅前のビルに入居していたが、何しろ、家賃が高くて。個人の商売としてやっていくには十分でも、他のテナントと同じくらいの利益を出すにはどうしても効率のいいチェーン店でなければやっていけいない」とのこと。或いは別の場所に移動した可能性もあるが、恐らく閉店した店舗の理由はそういうことなのだろう。

 1年のうち夏の今の時季にしか訪れない福島、新潟だと昨年までとは風景が一変していることもあるだけに、通い慣れた店を見つけるとホッとしたりもする。どんな世界でも、何の変化もないということは現実的にあり得ないし、ある意味それでは進歩がないとも言える。昨日まで当たり前だと思っていたことがガラッと変わってしまう、そんな時代でそれに対応していくのも楽しいと言えなくもない。私自身も入社以来、20年以上を経て、自社の業務でもスマートフォンやパソコンでのネットを通して情報を提供する機会が増えた。ただ、それでも一競馬ファンだった学生時代、授業中に机の下で週刊競馬ブックを開いてワクワクしていた気持ちだけはそのままで、今週も取材に励みたい。

美浦編集局 田村明宏

田村 明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28生 北海道出身 O型
あの衝撃から早くも2年近くが経とうとしているが、ロードクエストの新潟2歳Sは鮮明に記憶に残っている。その後に京成杯AHも勝ったが、やはりベストは新潟コースだろう。近走は伸び悩み気味に映るが、ベスト条件なら見直し可能だ。