目指すは年間100回騎乗(坂井直樹)

 こんにちは、栗東の坂井です。

 2022年最後の当番がやってきました。改めてこの1年を振り返ってみましたが、西の障害戦の本紙予想を担当している身としては、一番大きな出来事はやはり、小牧加矢太騎手のデビューということになるでしょうか。

▲11月6日、通算9勝目を挙げた小牧加矢太騎手

 その小牧騎手、先週12月4日のワイドレッジャドロに騎乗し、2022年3月19日のデビュー初騎乗からの騎乗回数が70回に到達しました。デビュー初年度の騎乗数としては出色の数字でしょう。年内は残り7鞍。仮にすべてに騎乗すれば今年は77回ということになります。

 先週の取材中、小牧騎手が「(年間)100回乗りたいですね。今年は3月からしか乗ってませんから、あと2カ月分あれば届かないですかね」と。横にいた小野寺騎手が返します。

「100回は、ほぼ毎レース乗るってことだからね。年間100回って、東で五十嵐さんしかやってないですもんね」

 うんうん、と頷いた私でしたが、内心は「そうだったのか」。たとえば今年、障害戦は年間で125鞍組まれています。100を超えようと思えば、なるほど確かにほぼ全部。100って可能なの?? これは調べなくてはなりませんね。

 ということでいつもの展開ですが、調べました。障害戦の年間騎乗数。調査期間は1981年から先週2022年12月4日まで。ベスト11は次の通りです(敬称略)。

①110回/2016年 五十嵐雄祐(10-7-10-83)
②102回/2020年 五十嵐雄祐(9-7-5-81)
③ 96回/2018年 五十嵐雄祐(13-8-8-67)
④ 93回/2016年 石神深一(15-11-9-58)
④ 93回/2019年 石神深一(10-10-8-65)
⑥ 91回/2018年 石神深一(7-11-11-62)
⑥ 91回/2020年 草野太郎(4-7-4-76)
⑧ 90回/1981年 嘉堂信雄(8-20-9-53)
⑧ 90回/2015年 五十嵐雄祐(11-9-8-62)
⑧ 90回/2021年 上野翔(7-3-6-74)
⑪ 89回/2018年 草野太郎(3-7-4-75)
⑪ 89回/2021年 草野太郎(6-7-5-71)

 1度どころか2度も大台を突破していました。これはすごい。それだけの騎乗依頼を受けることはもちろん、騎乗に支障が出るような怪我を避けることも絶対条件。これは大記録でしょう。ちなみに今年は1、2月に組まれた障害戦は23鞍。今年の小牧騎手が仮にこのすべてと年末までの残りのレースに乗ったとして、ようやくぴったり100回です。

 さて、社内データベースでざっと調べられる81年まで遡りましたが、レコードとしてはどうなのか。レコードブックをめくるととんでもない数字がありました。

●障害競走年間最多騎乗
126回 長池辰三(1959・1960年)

 今年1年の障害戦が全部で125鞍ですから、逆立ちしたって超えられません。私の手元で調べられる最も古い1962年、障害競走の年間施行数は287鞍(サラ=168/アラ=119)、翌1963年が270鞍(同164/106)ですから、レース数が倍以上あった時代の話ですが、不滅の記録といっていいでしょう。

 さて、そんな大記録「障害年間100回騎乗」へ、まずは年明けすぐに開幕する小倉の攻略が必要不可欠。「まだ小倉で勝ったことがないんですよね」とは小牧騎手ですが、それはおそらく時間の問題。「来年は小倉の鬼になります!」と笑う彼なら、とても高い目標もやってのけてしまいそうです。若武者の飛躍を間近で見られるであろう来冬の小倉を、私も楽しみに待ちたいと思います。

▲年間100回騎乗を来年の目標に掲げる小牧加矢太騎手

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
ちなみに2022年、先週までの騎乗数トップ3は、五十嵐雄騎手=86、草野騎手=85、石神騎手=80。今回調べていて目についたのは草野騎手で、コンスタントに80回以上の騎乗回数を重ね、2017年からは毎年、騎乗数トップ3に名を連ねています。関西にいるとなかなか取材の機会がありませんが、来冬の小倉に滞在するようなことがあれば、取材してみたい1人です。